非婚シングルマザーの権利

この1月から、デンマークの文化・教会大臣としてジョイ・モーンセン(Joy Mogensen)が職に復帰した。それまで務めていた ロスキレ市の市長職から、昨年6月に社会民主党内閣が組閣された際に、同大臣として抜擢された39歳の若い女性である。彼女は匿名ドナーからの精子提供を受けて女児を妊娠をしていることを公表しており、選択的シングルマザー(通称、ソロ・マザー)として2019年10月に出産する予定になっていた。8月には新聞に「市長職であれば9か月育児休暇を取る予定だったが大臣職となったため、なるべく早く復職する予定」と語っている

ところが、出産予定日より少し早い10月5日になって、胎児の死亡が確認されたため、死産をした。それを受けて、直ちにフレデリクセン首相は、モーンセン大臣が無期限で哀悼休暇に入ることを宣言、モーンセン大臣は3ヶ月の休暇を経て、この1月から復職した経緯である。(なお、この哀悼休暇は子どもを死産した場合、あるいは出産後32週以内に子どもが亡くなった場合に、母親にも父親にも適用される権利で、14週間、通常の育児休暇と同じ給与補償がある)

こうした法令を見る際につくづく実感されるのは、デンマークでは通常想定される母親、父親像だけではなく、LGBTなどにも配慮した権利が明記されていることである。上記の哀悼休暇の説明文にも、「死産した子どもの母親である場合、」と始まり、「亡くなった子どもの父親、共同母親の場合にもこの休暇を取る権利がある(強調は筆者)」と明記されている。女性同士のカップルで直接妊娠していなかったほうの女性へも同等の権利があることがわかる。また、モーンセン大臣の件でも明らかなように、ソロ・マザーであっても当然、このケースに該当する。

折しも、日本では先月に 「寡婦(寡夫)控除」の適用拡大が決定され、ようやく未婚のひとり親に対しても、同等の権利が与えられる方向に動き出したところだ。個人を単位としておらず、戸籍のような家族単位を使うために、結婚しているかいないかといった基準で区別・差別をしてきたことは、極めて不自由で非合理だと思う。 2019年の日本での出生数は 86万4000人にまで落ち込んだ。若者が子どもを産みたいと思う気持ちをもったら喜び、どんな形であっても生まれてきた子どもを親とともに社会全体で大切にしていくことを、しっかりと示していく環境があってほしい。望まれて生まれてくる子どもは、非婚の子どもであっても、同様に大切な命で社会の宝である。私は非婚シングルマザーを応援し、これが日本にとっても少子化に向き合うための一つの重要なキーになると確信している。

選択的シングルマザーになることを検討されている強い女性、デンマークから応援します。実際に子どもが生まれてからの選択的シングルマザーの生き方についての蓄積もデンマーク国内では多く紹介されていますが、まずは妊娠までの積極的なお手伝いを考えています。デンマークで人工授精したいとお考えの方、右上の「選択的シングルマザー」の項をお読みのうえ、ぜひご連絡ください。

    投稿者: Denjapaner

    2002年よりデンマーク在住。とくに教育、福祉、労働のテーマに関心を持つ。ストレスのない生活を目指して、のんびりと生活中。2015年生まれの子の母。

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