先週日本の友人から、デンマークの政策的なコロナ対応について質問を受け、回答をしたばかりのところに、何と自分が感染してしまった。自分の経験した範囲でのデンマークのコロナ感染者への対応を記録し、歴史的な現象の一部となってしまった自分の体験を日本へ紹介してみる。自主隔離のやり方も、デンマークの管轄官庁が勧めているやり方に忠実に従っているものなので、誰かの参考になるかもしれない。
Madogucciの業務に加え、医療・保健セクターの仕事を非常勤でしているため、コロナ危機以降も細心の注意を払いつつも、定期的に出勤し、人と接してきた。この仕事と関連し、隔週そして先週辺りからは毎週、PCRテストを受けることが推奨されているため、一昨日の木曜日に仕事後に仕事関係者に向けた検査に出かけた(週に2回、決まった1.5時間あるいは1.5×2時間しか開いていないが、予約不要で検査料は無料。待ち時間もほとんどない)。この時は特に自覚症状はなかった。
翌日、つまり昨日金曜日の朝になるが、朝から体が熱く、38度2分の発熱が認められた。別の体温計で複数回測っても同じ結果で、ともに暮らす家族は36度台といたって普通。ようやく自分に熱があることを認め、職場に電話することにした。何らかの症状がある場合には欠勤するように言われるので、やむなく欠勤し、コロナの可能性ありと認め、その瞬間からマスクをして自主隔離に入った。キッチンにはいかず寝室に籠り、お茶や食事も運んでもらい、トイレは使用するたびに、ドアの取っ手から便座の蓋、便座、水道の蛇口、電気のスイッチに至るまで消毒した。この時点で私の陽性確定はまだであったが、国立疫学研究所の資料によると子どもを保育園にも送っていいというので、リスクを回避するためにも家族に子どもは保育園に送り出してもらった。
日中は何度も体温を計測するが、38度を下回ることはなく、ベッドで横になってだらだらと過ごすもすっきりしない。家族も職場で仕事をしているため、私の発熱とリスクを理由に、彼の週末の出勤がキャンセルされた。
通常は、sundhed.dkという保健ポータルに自分のログインしてPCRテストの結果を見にいくのだが、前日に同僚が同ポータルとリンクしたこの保健アプリがよいといっていたので、そちらをたまたまダウンロードしていた。PCRテストの結果が来次第、携帯に通知が入る機能があり、それも合わせて登録した。
夕方になって、待っていた通知が届いた。慌ててアプリでログインすると、なんと陽性。恐れていた状況が現実になってしまった。慌てて勤務先に電話すると、数日前に亡くなった方がイギリス変異種に感染していたらしい、と耳にする。私もその方との接触はあったから、マスク等はしていたものの、そこからうつったのかもしれない。
症状は熱だけで大したことはないが、心理的なショックは大きく、その日は大したことは何もできなかった。陽性だった人に対するパンフレットを見て、自分の、そして家族の身の処し方を自分なりに学んだ。そして同じアパートに住む人たちにメールで、感染を通知した。コロナが始まって以来、このアパートでは(おそらく)皆そうしており、14世帯ほどの小さなアパートだが、すでに私ですでに6人目だ。
翌日になって、自分の検査結果に変異種なのか書いていないかをチェックしていて、感染追跡のための電話番号が書いてあるのに気づいた。陽性反応が出た人に、できるだけ早くかけるように呼びかけている。電話すると、あっというまにつながった。内部回線は、0.英語での対応を希望する人、1.陽性反応が出た人、2.濃厚接触者で、今後の行動について助言を受け、PCR検査を受けたい人、3.濃厚接触者でPCRテストの日程を確保したい人、4.変異種に感染したとわかっている人、となっていた。自分の電話番号を登録してあれば、向こうからかかってくるようではあったが、私の場合にはここで自分でかけ、電話口で番号を登録してもらった。
まず、どんな症状があらわれているかを問われ、昨日の朝から発熱があったが、今日はすでに37度台にまで下がっていると伝えると、1日半の発熱というのは「ほぼ症状なし」のなるとのことで、通常なら、症状が完全に消失してから48時間で隔離が解かれるところだが、検査日をゼロ日目として、1週間後に隔離が解かれることになるそうだ。感染後8週間は、他に感染させる力がなくとも検査結果では不活性化したウィルスが陽性反応になることがあるため、私には8週間、検査は受けることは推奨しないそうだ。例外としては、ごくまれに再び感染するケースも報告されているため、再びコロナの兆候が現れたら、その際には検査を勧めるとのこと。
テストを受けた2日前から感染していたことになるらしい。私は感染追跡のためのアプリを入れていなかったため、テスト前2日間の行動を問われた。幸い、火曜日水曜日は自宅で仕事をしていたため、どこにも出かけていない(と思っていた 後述)。木曜日は仕事に出かけたが、職場にはすでに連絡してある。発熱があり、金曜日の朝から自主隔離していることを伝えると、その処し方で正しいといわれる。トイレは二つあるので、家族は別のトイレを利用するように言われた。当然、保育園児が完全に距離を取ったり、近寄らないというのは難しいので、ごくたまに寝室にやってくるが、距離は必ず取るように言い聞かせている。
濃厚接触者はすぐにPCR検査を受けるようになっているため、コロナテストの予約サイトに私のIDでログインをすると、すぐに保護者として子どもの検査予約をすることができた。翌日土曜日、今無事に行ってきたところだ。 感染者と共に生活する濃厚接触者は、直ちにPCR検査を予約し、さらに4日目、6日目に検査をする必要がある(計3回 すべて無料)。 子どもの検査はあっさりと好きな時間を予約できたが、成人の時間はすでに埋まってしまっているようで、子どもの検査に合わせた時間にいかれない。これを私の電話口で伝えると、濃厚接触者の検査の場合、特別枠があるので、上記の感染追跡の電話番号で、内部2番あるいは3番に電話し、私の感染ケースの番号を告げれば優先予約できるという(実際にできた)。これは感染の可能性があるなか、2回出かけるという手間もリスクも省け、非常にありがたかった。検査には自転車で向かい、公共交通でのほかの人との接触もなかったが、ここから彼らも隔離に入り、買い物もできなくなる。
感染者同士が一緒にいることで、症状が悪化したりすることはないので、もしも運悪く家族も感染しているのであれば、今のような私の隔離は不要になるらしい。また、変異種であったとしても、症状が重くなるということはない、とはっきりと伝えられた。急に、検査前日に歯科医にいっていたことを思い出した。歯科では、マスクを取り、治療をしてもらった。直ちにコンタクトを取るようにということで、電話したが、運悪く土曜日…つながらない。メールをしたところ、幸い、数分後に対応者してくれる方がいて、これで歯科医と衛生士がすぐに検査にいってくれれば、ととりあえず安堵した。面倒を引き起こして恐縮だ、と書くと、「すまながる必要はない、デンマークの状況がいまそうなのだから。どうぞお大事に。」と優しい返答があり、心に沁みる。
私がどこで感染したと思うかと問われる中で、職場でのイギリス変異種の可能性があることを告げると、4番の内線にかけるのがよいという。これに関する特別の知識を持った人が対応しており、質問にも答えてくれるようだ。かけてみると、すべてのPCR検査をさらなる分析にかけ、変異種かどうかと調べているわけではないが、もしも変異種と分かった場合には、電話で通知してくれるという。変異種の場合には、感染力が強いため、濃厚接触者も3回のテストで陰性反応が出ても、計14日間は隔離を解けないらしい。
家族に保育園児がいることを告げると、私自身が一人で自主隔離をする方法もあるが、家族として全体を(社会から)隔離する方法もあり、どちらを選ぶかは私たち次第だと言われた。家族内で、一緒に寝食を共にしたり、一般的な衛生管理で済ませられるようになるのは利点だが、その場合には、当然全員が感染する前提となる。感染した後遺症が家族に残るのは避けたいので、私はできるだけ、自分だけで済ませたいと考えている。その場合、家族にきちんと会えるのは、少なくとも一週間後ということになる。辛い時だけれど、それがみんなを守り、デンマークを守ることになるのだから、といわれて、ぐっと来てしまった。そうだ、みんなで一緒に国難に対処しているんだという思いが込み上げてきた。
ガイドラインによると、子どものPCR検査が陰性だった場合、すぐに子どもを保育園に送っていいらしい。しかし、変異種の可能性もある今、それが通用するのか。質問すると、やはり、3回の検査で陰性が証明されるまでは難しそうだとわかった。来週一週間くらいは少なくとも、自宅でみんなで警戒しながら生活することが求められる。その他、外国への渡航歴はないか、最近渡航した人と接触はなかったかなどを問われた(もちろんない)ほか、洗濯はできる限り高温の60度で行うなど、細かな指示もあった。
今の段階では私の年齢や健康状態もあり、悪化していないこともあるが、万が一体調が急変したらどうしたらいいのか、といったことは一切話していない。1日目の今としては、感染を他に広げないために、どうしたらいいのかの対策を練り、すでに感染させたかもしれない人たちにコンタクトすることに集中している状況といってよい(誰もがそうとは限らない。私が質問しなかったからかもしれない)。なお、コロナ関連であれ、医療のことは自分のかかりつけ医にコンタクトすることになっているようだ。もちろん緊急の事態であれば、通常の緊急の時と同様に、1813に電話して病院へ行かれるように手配するようになるだろう。
自宅療養が基本だが、私の場合には面倒を見てくれる家族もいて、不安もない。ありがたい。なお、感染者で(例えば、高リスクの病気持ちの家族が一緒に生活しているなどで)自宅での隔離生活が難しい場合、一時滞在ができるところを自治体に紹介してもらえることになっている。仕事は、今後どのくらい欠勤をしなければならないのかにもよるが、今のところは少なくとも来週まで、通常の病欠として扱われるはずだ。コロナでも普通の病気と同様に、疾病失業給付が受けられる。また、職場での感染は、それが証明できる場合、労災として扱われるそうだが、労災というほどの後遺症などが残らないように願うばかりだ。
ここまでは、自分で積極的に管轄する当局にコンタクトして助言などをもらったことだが、今日になって電子私書箱に「新型コロナウィルス陽性反応が出た方へ」というパンフレットが送られてきた(6ページの文書で、3ページがデンマーク語、3ページが英語)。こうした積極的な隔離あるいは身の処し方の呼びかけも送られてきたことも付記しておきたい。
日本でも、発熱などの症状がある人が出かけて感染を広げてしまうことがないように、デンマークではこれだけ徹底的に、そして上からのはっきりとした指示で対策が進められていることを紹介してみた。人によってはパニックにさえなりかねない状況で、電話口で人と直接話せるというのはありがたいし、話す人たちは誰もが親切で親身になって助言をくれた。電話もすぐにつながり、安心感がある。
私たちはもう長い間、仕事以外には誰にも会っていないし、保育園の送り迎えもマスクをして、2mほどの距離をとって屋外で行っている。一緒に生活する家族の感染の有無が今一番気になる点だが、臨機応変に対策と対処を考えて、このコロナ期を戦い、元気にみんなで復活しようと思う。どうぞ皆様も気を付けて。
