コペンハーゲンの家賃でお悩みの方は、知っておくべき権利

住宅難のコペンハーゲンでは、日本からやってくる若者のみならず、それなりの人脈ネットワークを持つデンマーク人にとっても、アパートを探すのは非常に困難だ。外国人としてやってきて、何とか自分の力で住まいを探そうとするものの騙されたり、高額の家賃を吹っ掛けられながら、仕方なく払っているようなケースも多いだろう。これまでもコペンハーゲン等の大都市での住宅難については触れてきたが、若者の進学指向や住宅価格が高騰し続けていることなどもあり、都市部での住宅探しは変わらず困難である。

賃貸住宅のサイトなどをオンラインで探すほか、地元の新聞に広告を出したり、図書館にチラシを貼ったり、口コミを頼るなど、手を尽くして何とか住まいを見つけている人も多い。そうなると、こうした状況に乗じて、到底、広さや条件と見合わない家賃を吹っ掛けて、一儲けしようという人たちも出てくる。しかし、デンマークには、個人間の住宅の賃貸に関しても明確なルールがあり、需要があるならと勝手に上げ続けることはできない。

まず、アパートを借りるうえで忘れてはならないのが、必ず賃貸契約書を結ぶこと。デンマーク語のひな型はネット上でも手に入る一般的なものだが、公式ではないようだが英語訳もネット上で手に入る(信頼できそうなところからのリンクを貼った)。これらに明記された条件に納得したうえで署名をしないと、退去時に保証金が返ってこなかったりというトラブルにもつながるので、忘れないようにしたい。

どう考えても高すぎる賃料を払っているという考えられる場合には、各自治体の賃料審査会に不服申し立てをすることができる。審査会は、その地域での同種の住宅と比較して妥当と思われる金額を割り出し、払い過ぎがあった場合には過払い分を返却する命令を出す。私自身は借主でも貸主でもないが、ひょんなことからこのケースに関係者としてかかわることになり、やり取りを逐一観察する機会に恵まれた。デンマークに住む日本人の中で、不本意にも過払いをしているケースも多いと思われるので、参考までにケースを記したい。


【ケース】 東欧人の若者が借りた41m2の家具付きアパート。こちらでいうところの「1部屋のアパート」であり、大きな居室にトイレ・シャワー、キッチンがついている独立した住居。ベッドやソファ、テレビといった家具付きではあったものの、特別贅沢な作りだったり、貸すために新しい家具を入れたわけでもない。月額12.500DKK(20万円超)の家賃を1年間払い続けた。

ペンは剣よりも強し。弁の立つものは勝算も大きい。自分の力で不服申し立てをして戦うことができない人に代わって、係争を進めてくれるところがある。法学を学んだ若い学生たちが立ち上げたベンチャー企業で、大きく成長している。委任状にサインすると、作業を進めてくれて、成功報酬は過払いとして返却された金額の30%。非常に明快だ。敗訴すれば、報酬はゼロだが、敗訴したケースはこれまでにないという!(95%以上と書いてある)

賃料審査会とのやり取りは、公正に行うため、関連パートにメールにて意見聴取という形で行われる。「こういう陳情があるが、事実と異なる点や強調したいことなどがあれば何でも申し立てよ」、と貸主に連絡が行くところから始まり、それを受けた貸主が、この家賃がいかに正当なものかという弁明をしたためたメールを審査委員会に送る。その写しがそのまま訴人(上記代理人)にも送られ、さらにそれに対する異論が審査会にメールされ…という具合に、お互いに言うことがなくなるまで繰り返される。

借主の代理人は、弁論などで鍛えたのであろうか、こういえばああいうという貸主(これも法学を修めた若者だった)に実に理路整然と、正々堂々と議論をし、第三者としてメールのやりとりを見ていても心が晴れやかになるようだった。そして、このメールでの議論が済んでまもなく、審査会から4人(審査会会長、自治体の貸主代表、自治体の借主代表、審査会秘書)は当該アパートの査察に訪れる。貸主や借主など、ステークホルダーは皆査察に同席することができる。今回のケースでは、貸主だけが現れ、審査委員会に対して当時の写真を見せたり、最後の訴えをしようとしていた。とはいえ、たった一部屋のアパート。10分ほどで査察は済んだ。

そして、翌日。調査報告書と結論、そしてその根拠となった法令文がステークホルダー全員に送られた。周辺地域の住宅とアパートの状況に照らし、今回のケースで妥当な家賃は月額4.100DKK(6万6000円ほど)也。適正価格の3倍も請求していたと明快に糾弾し、過払い分に利息をつけて返却すべし、とされた。ぐうの音も出ない。

鮮やかな勝利に思わず、借主代理人におめでとうと連絡したくなった(笑)が、彼らは慣れたものなのだろう。およそ100.000DKKの過払いで、成功報酬30.000DKKが彼らの下へいくはずだ。彼らのしたことは、代理人としてメールで賃料の妥当性を疑う弁論を展開しただけだ。しかし、正義の鉄槌が下り、しっかりと声なき人たちが不当に搾取されるのを防いだ。借主が委任状にサインした日付からわずか5カ月ほどで終結している。

もしもあなたが、コペンハーゲンで(不当に)高い家賃に悩まされている場合には、訴えるための条件等を確認したうえで、同社にコンタクトとしてみるのもよいだろう。英語でも可能だ。(賃借の状況を伝える段階でコミュニケーションに不安のある人は、当方に連絡をくださればMadogucciが代行のお手伝いします)

    投稿者: Denjapaner

    2002年よりデンマーク在住。とくに教育、福祉、労働のテーマに関心を持つ。ストレスのない生活を目指して、のんびりと生活中。2015年生まれの子の母。

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