デンマークのコロナ感染者への対応 日本との比較

(ひとつ前の記事の続きです。え、感染したの?という方はこちらから)

これで、金曜日朝に始まった自主隔離も4日目に入った。今朝になり、ようやく熱も36度台になって、すごく楽になった。幸い、今のところ同居家族にはうつしていなかったのか、土曜日に行った濃厚接触者へのPCR検査では、ふたりともウィルスは検知されなかった。まだ潜伏期間中である可能性もぬぐえないので、彼らも基本的に外に出ることはできないが、安堵したことは事実である。再度、4日目、6日目のPCR検査を経て、ようやく真の陰性と認められることになる。それまで私も自主隔離を徹底して、彼らを守らなければならない。

私自身は今日が、「症状なし1日目」となるから、通常だとここから48時間で、つまり水曜日の朝には隔離を解けることになっている。しかし、私の場合には「ほぼ無症状」というカテゴリーになるため、検査日から1週間は自主隔離が勧められるので、木曜日午後まではこのままの隔離生活を続けなければならない。金曜日に家族のPCR検査の結果が出て、それが陰性なら、私も含めて皆で家のなかはこれまでの生活に戻れるだろう。

この間、デンマークの情報とともに、日本の陽性反応者、濃厚接触者に向けた対応も比較して参考にしようと調べていた。大きな対応の違いは見られないが、日本ではそれぞれの役所や自治体がそれぞれ自分でパンフレットなどを作り、そこに案内することで、多くの文書が出回っている印象を受ける(コロナ対応でやることも多い中で、そこに時間を費やす必要があるのか疑問がある)。また、自然災害が多い日本では、陽性反応がでて自宅療養している人や感染の可能性があり自宅観察中の人に対して、それぞれの自治体が特別の避難場所案内などを想定・準備していることに、対応の苦慮がつくづく想像された。日本の行政では当然なのだろうが、何と手間のかかることだろう。せめてコロナが安定するまで自然災害は一時休止してほしいと心から願う。

デンマークではコロナに関しては、管轄省としては感染に関する情報は保健省および直下の保健庁、予防やワクチン接種に関する情報普及に関しては国立疫学研究所(SSI)、感染者に対しての助言や感染追跡には患者保安庁と所轄がわかれており、それらが互いに協力し合いながらも中央集権的に動いている。症状に関連した医学的な助言をするのはかかりつけ医で、必要に応じてそこからの紹介で病院へと進む。各自治体でもコロナ対応は当然あるが、具体的な指示に関しては上記の公共機関のガイドラインに従うように、そちらから発行されているPDFファイルなどを参照・案内するため、自治体ごとのぶれが生じにくい。PCR検査が無料ですぐに受けられる環境があること、その結果がほぼ必ず翌日には届くことは、感染予防の要として、うまく機能していると思う。連日すごい数の検査(例えば昨日は134.208件、人口比から日本でいえば一日で300万件規模で検査していることになる)をしているので、感染者数もそれなりだが、大局的にはきっと拡散防止の役に立っているはずだ。

なお、日本の保健所の調査のように、毎日体温を測定したり、状況を報告するように言われたりはしない。私も発熱以来、体温は定期的に図っているが、特別記録はしていないし、とくに誰にも聞かれない。病状に変化があり、医療的な助言や治療が必要と思われたら、自分でかかりつけ医(や緊急救急)にコンタクトする責任があるということだ。感染拡散防止のために電子私書箱に感染者に向けたパンフレットは送られてきたが、それだけで、私の「病状」(というのはおこがましいくらい軽症だが)がその後どうかというのは、今のところごく一部の家族や友人に個人的に問われただけに過ぎない。一人暮らしでないことがわかっているから、No news is good newsと思われているのかもしれないが。自分は今のところ関係ないが、日本で聞くような、自宅療養で経過観察中に急変して大変なことに…みたいなことが起こっていないのか、少し疑問に思う。私の予想だと、しばらくして自主隔離が解け、自動的に「みなし完治者」になり、落ち着いたころ、疫学調査のためのアンケートなどが送られてくるのかもしれない。

まとめると、デンマークでの感染拡大防止のための聞き取りは丁寧に行われたし、正しい感染管理ができるように具体的な指示ももらえた。そして、陽性反応者・濃厚接触者の日常生活やコロナの症状のことでも、質問があればいつでもできる環境は与えられている。しかし、感染管理・拡大防止を超えた、病状のコントロールについてはそれぞれの人が自分で必要に応じて、アクティブに情報や救援を求める必要があるということになる。生活していて感じる、自立・自律した市民を求める社会は、こうした政策にも投影されている。

(追記)

上記では、医療的な部分での問い合わせが全くなかったと書いたが、かかりつけクリニックの医療秘書から症状を問う電話がかかってきた(心配していただいて、ありがたい)。陽性の確認から3日ほどたってはいるが、最初から軽症と見られたこと、週末だったことを考えると妥当かもしれない。 もう大丈夫だと告げたが、何かあればクリニックに電話するように言われた。

日本では、保健所で病状の把握から状況によっては入院の受け入れ先探し、感染拡大防止まで何でもやらざるを得ないから、キャパを超えてしまっているのではないかという気がする。同時に、ここまでデンマークが進めてきたデジタル化の恩恵をいやでも感じざるを得ない。大きくいって3点はあげられる。(その大前提にCPRという個人番号制があることは、いうまでもない)

1.PCRテストの予約 個人のデジタルIDでログインし、近くで便利な検査場を選び、都合のいい時間を選んで予約することができる。

2.電子私書箱に届く関連パンフレット 「陽性反応が出た方へ」「濃厚接触者の方へ」などとたくさんのパンフレットがあるが、各行政機関のHPからダウンロードできるのはもちろん、直接電子私書箱に届くものもある。これらが印刷され、各感染者のいる世帯に郵送される必要があるのだとしたら…ぞっとする。また、外出厳禁でさらに病床についている人の場合、スマホをいじることはできるだろうが、外のポストに郵便物があるかを確認しに行って、開封するとは思い難い。そう、自分のそして家族の身を案じる感染者は、余力があれば情報を求めてスマホで検索するのだ。

3.ハイパーリンクでどんどんつながる、関連情報 上記のパンフレットなどを読んでいても、「コロナに似たのある症状のある人の場合」「2歳未満の子どもの場合」など、さまざまなハイパーリンクがあり、その情報に関係・興味のある人がどんどんたぐっていけるようになっている。これが紙のパンフレットだったら、行政職員(保健所職員?)が関連がありそうなものを見繕い、何種類もパンフレットを封筒に詰め、送るのだろうか。気が遠くなる話である。

デジタル化されてもなお、電話で直接、状況に関する知識を持った人が対応してくれることの安心感は計りしれない。慌てているとき、時間や気持ちに余裕がないとき、電話できる窓口があり、すぐに対応してくれるのはすごくありがたい。しかし、逆に言えば、慌てていないとき、時間や気持ちに余裕があるときには、電話で誰かに対応させなくても、自分の力で読んだり、調べたりできるし、したいのだ。それを適える情報の電子化が、逼迫する医療セクターや行政の対応を考えたときに効率化を進めていることは間違いない。

    投稿者: Denjapaner

    2002年よりデンマーク在住。とくに教育、福祉、労働のテーマに関心を持つ。ストレスのない生活を目指して、のんびりと生活中。2015年生まれの子の母。

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